メガバンクの普通預金通帳を眺めていると、利息欄に『45 円』のような数字が並んでいることがある。1000 万円の残高に対して年利 0.001% の世界では、1 年間の利息は 80 円ちょっとで税引き後は 60 円台に落ち着く。コンビニ ATM の時間外手数料 1 回分にすら届かない。一方で SBI 新生 · ソニー銀行 · auじぶん銀行のような ネット銀行で 1 年定期 0.30% を選ぶと、同じ 1000 万円が税引後 23,906 円の利息を生む。表示金利は 300 倍、絶対額の差はおよそ 23,800 円。同じ円・同じ元本保証圏内で、銀行を変えるだけで生まれる差だ。
1000 万円・1 年・表示 0.30% の手取り
前提を 整理する。1000 万円を 1 年定期(単利、表示 0.30%)で ネット 銀行 に預けたケース。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 元本 | 10,000,000 円 |
| 税引前利息 (0.30%) | 30,000 円 |
| 利子所得税 20.315% | -6,094 円 |
| 税引後利息 | 23,906 円 |
| 満期受取額 | 10,023,906 円 |
実効金利は 約 0.239%。表示の 0.30% との差は 0.061 ポイントで、絶対額では 6,094 円。月割で 約 508 円、コーヒー 1 杯分の差だ。同じ 1000 万円をメガバンク普通 0.001% に置きっぱなしだと税引後の利息は 約 80 円。比率で 300 倍、絶対額で 23,800 円の差は確かに小さくないが、海外の 4–5% APY と並べた瞬間にスケール感が変わる。
interest ツール の税引前/税引後トグルを切り替えれば、同じ入力で『広告の数字』と『通帳に入る数字』が同じ画面に並ぶ。結果 URL を 配偶者やファイナンシャルプランナーに送れば、同じ画面・同じ結果を見て話せる。
利子所得税 20.315% の内訳
『20.315%』は 単一の数字ではなく 3 層の合計だ。所得税 15% + 復興特別所得税 0.315%(所得税の 2.1%)+ 住民税合計 5% で 20.315% に固まる。利子所得は金融機関で源泉徴収・分離課税されるため、ほとんどの場合は確定申告が不要で、通帳には『税引後』の数字が自動的に入る。
ここで知っておきたいのは、新 NISA(2024 年〜)の対象に預金は含まれていないという点だ。年間 360 万円 + 生涯 1800 万円の枠は上場株式・公募株式投資信託・ETF 等で、預金商品はカバーされない。マル優(障害者等の少額預金非課税)・マル特(国債・地方債)は依然として高齢者・障害者向けに残るが、預入合計 350 万円という限度があり、本記事の 1000 万円シナリオは ほぼ全額が一般課税ゾーンに入る。
メガバンク普通 0.001% とネット銀行 定期 0.30% — 同じ円、別の世界
| 銀行タイプ | 商品 | 表示金利 | 1000 万円 1 年税引後利息 |
|---|---|---|---|
| メガバンク (例: 三菱 UFJ・三井住友・みずほ) | 普通預金 | 0.001% | 約 80 円 |
| メガバンク | スーパー定期 1 年 | 0.020% | 約 1,594 円 |
| ネット銀行 (例: SBI 新生・ソニー・auじぶん) | 1 年定期 | 0.30% | 約 23,906 円 |
| 個人向け国債 (変動 10 年, 参考) | — | 約 0.66% (2026 年 5 月時点推定) | 約 52,594 円 |
ネット銀行の 0.30% は『預金保険 1 機関 1000 万円 + 利息』の保護枠内なら、リスクとしてはメガバンクと同等だ。本人確認・口座開設はオンラインで 30 分前後。手取り 23,800 円差を 30 分で得られるなら、引っ越しコストは十分に低い。
ただし注意点もある。1 機関ごとの保護枠は元本 1000 万円 + その利息。1000 万円ぴったりを定期に入れて利息が 23,906 円ついた瞬間、保護枠は元本部分の 1000 万円だけになる。複数銀行に分散するか、保護枠ぎりぎりの設計を意識的に避けるのが慣習だ。
韓国・米国・日本の同サイズ預金を並べると
似たような規模の資金を 1 年定期に預けたとき、3 市場で表示金利・税率・実効金利のすべてが違う。
| 市場 | 元本 | 表示金利 | 税率 | 税引後利息 | 実効金利 |
|---|---|---|---|---|---|
| 🇰🇷 韓国 (1 年定期) | 1 億ウォン | 4.0% | 15.4% | 約 3,384,000 ウォン | 3.38% |
| 🇺🇸 米国 (HYSA 1 年保有) | $100,000 | 5.0% APY | federal 24% + state 0% (TX) | 約 $3,800 | 3.80% |
| 🇯🇵 日本 (ネット定期 1 年) | 1000 万円 | 0.30% | 20.315% | 約 23,906 円 | 0.24% |
絶対額の落差は明白だ。韓国の 1 億ウォン(約 1100 万円)定期 4.0% は税引後でも 約 338 万ウォン(約 37 万円)、米国 $100,000 HYSA 5% は 税引後でも約 50 万円相当。日本のネット定期 1000 万円 0.30% は 税引後 約 2.4 万円。同じ金額相当を 1 年置いても、韓国・米国はその 15–20 倍の利息が手元に残る。為替リスクを取らない円建ての安心と引き換えに、日本の預金は『資産を増やす』機能をほぼ捨てている — というのが現状の地形だ。
預金以外の選択肢を 3 つだけ並べると
預金一辺倒では『資産を増やす』機能が成り立たない以上、ネット定期と並べて検討する候補が少なくとも 3 つある。
- 個人向け国債(変動 10 年) — 2026 年 5 月時点 約 0.66% 前後の表示金利、税率は預金と同じ 20.315%、最低 0.05% 保証。中途換金は直前 2 回分の利子相当額を差し引かれるので、本当に 1 年で使う予定の資金には向かない。3–10 年スパンで使わない『余剰資金』なら、ネット定期より自然に勝てる。
- 新 NISA × 短期債 ETF / MMF — 預金そのものは新 NISA 対象外だが、短期債 ETF や MRF など『預金に近いボラティリティ』の商品は新 NISA で持てる。流動性は預金より低いが、税負担ゼロを取れる。
- iDeCo · 企業型 DC — 元本確保型の商品(定期預金型ファンド)を選べば実質的に税優遇付きの定期預金になる。所得控除メリットが大きいため、本記事の単純比較とは枠が違う検討対象。
ネット定期 0.30% は『流動性最重視』の選択肢として、上の 3 つと組み合わせる前提で設計するのが 2026 年型の自然な距離感だ。
表示金利に騙されない 3 つのチェック
- 税引後実効金利を必ず確認 — ネット定期 0.30% → 税引後 0.239%。普通預金からの 300 倍を実額で測ると年 23,800 円。コーヒー一杯分の月差。
- 預金保険 1 機関 1000 万円 + 利息の枠を意識 — 1000 万円ぴったりは利息分が枠外。複数銀行 分散 か、ぎりぎりを避けて入金する。
- 預金以外の候補を必ず並べる — 個人向け国債・新 NISA × 短期債 ETF・iDeCo 元本確保型。1 年・短期・流動性最重視ならネット定期だが、3 年以上の余剰資金は別商品が高確率で勝つ。
interest ツール で同じ画面に普通・定期・積立を並べ、税引前/税引後トグルを切り替えると、表示金利が広告で、税引後が通帳の数字だという当たり前の事実が体感的にわかる。1000 万円という規模では、銀行を変える 30 分が年間 23,800 円の手取りに直結する。