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フラット35 vs 変動金利 — 35年通算でどちらが得か (2026年)

全期間固定のフラット35と変動金利、6,240万円35年で総返済額に約1,856万円の差(変動据え置き仮定)。5年後上昇シナリオでは¥780万に縮まる。2026年現実シミュレーション。

深い藍色とゴールドのグラデーション背景に PiPi マスコットと『フラット35 vs 変動』が大きく配置された日本市場向けカード。

新築マンションの契約直前、銀行の窓口で『フラット35 にしますか、それとも変動金利ですか?』と聞かれて、どちらが得か即答できる人は少ない。表示金利だけ見れば変動が圧倒的(2026年5月時点で メガバンク変動 約0.345% vs フラット35 約1.85%)。だが35年通算で電卓を叩くと、絶対額で ¥1,856万円 もの差が出る商品もあれば、想定以下の差にとどまる商品もある。判断の鍵は表示金利ではなく、5年ルール·1.25倍ルール·住宅ローン控除·繰り上げ返済の組み合わせにある。

同じ ¥6,240万円、35年通算でどう違うか

前提を最も典型的なケースで揃える。武蔵小杉の新築マンション ¥7,800万、頭金20% = ¥1,560万、借入 ¥6,240万円。期間 35年(420ヶ月)、元利均等返済。

項目フラット35 (1.85% 全期間固定)メガバンク変動 (0.345% スタート)
月々返済額(初回)¥201,937¥157,743-¥44,194/月
35年通算返済額(変動が金利据え置き仮定)¥84,813,540¥66,252,060+¥18,561,480
35年通算利息¥22,413,540¥3,852,060+¥18,561,480
35年通算返済額(変動 5年後 1.5%へ上昇仮定)同上¥約77,000,000+¥約7,800,000

変動金利で『5年後も0.345%が続く』楽観仮定では月々負担·総返済とも変動が圧勝。だが現実的には20262031年で日銀金融政策正常化が進み、5年後 reset 時に1.52.5% への引き上げが起きる蓋然性が高い(内田副総裁発言·政策金利見通し)。5年後 1.5% 上昇シナリオを入れると、35年通算の差は ¥1,856万(据え置き仮定) から ¥780万 程度まで縮まり、固定の安心感のコストが見えやすくなる。

interest ツールで『変動金利 + 5年ルール ON + 1.25倍ルール ON』を選び、scenarioResetRatePct = 1.5, scenarioResetAtMonth = 61 を入れると、上記のシミュレーションが左右カードで再現される。

5年ルール·1.25倍ルール — 守ってくれるか、未払利息か

メガバンクの変動·元利均等返済には2つの安全装置がある。

5年ルール: 金利が見直されても5年間は月々返済額が据え置かれる。新金利は元金/利息の比率調整に使われ、月々の家計負担は変わらない。家計予算の安定性を確保する仕組みだ。

1.25倍ルール: 5年経過後の見直し時、新月々返済額は直前の1.25倍が上限。例えば直前 ¥157,743 だった月々返済は、どんなに金利が上昇しても次の5年は ¥197,179 が上限になる。

両ルールは家計を守る一方で、未払利息の蓄積という落とし穴がある。金利が大きく上昇した期間に利息が月々返済額を超えると、不足分が元金に積み上がる(マイナス償却)。最終的にはどこかで埋め合わせるしかなく、(1) 期末一括返済、(2) 未来の返済額急増、(3) 一部銀行は『最後5年で精算』ルールを発動 — のいずれかになる。みずほ銀行は半年型で1.25倍ルールを適用しないなど、銀行ごとに細部が違うので、契約前の説明書類で必ず確認する。

住宅ローン控除13年 — 固定 vs 変動でどう違うか

2024年制度では、住宅ローン控除は『年末残高 × 0.7% × 13年間』。新築認定住宅 cap ¥4,500万、新築一般 ¥3,000万、中古 ¥2,000万 という年末残高の上限がある。

¥6,240万円·新築一般(cap ¥3,000万)·1.85% フラット35 のケースでは、13年合計の控除額は約 ¥250270万。同じ条件の変動金利は元金減少ペースが速いので、13年合計控除額は約 ¥220240万。控除額自体は固定の方が約 ¥30~50万 多く取れる(年末残高の減りが遅い分、cap のクリア状態が長く続く)。

ただし住宅ローン控除を金利タイプ選びの主因にすべきではない。13年合計 ¥30~50万 の差は、35年通算 ¥1,856万 級の差を覆さない。住宅ローン控除は『どちらを選んでも貰える』前提で見て、金利選びは別の軸(元金減少速度·繰り上げ返済柔軟性·心理的安心感)で判断するのが現実的だ。

繰り上げ返済 — 期間短縮型と返済額軽減型の使い分け

35年フルで完済する家庭は実は少ない。住宅金融支援機構の統計では、住宅ローンの実際保有期間は平均7~10年。途中で繰り上げ返済·借換·売却で精算される。

繰り上げ返済には2つのタイプがある。

期間短縮型: 一時返済分だけ元金を減らし、月々返済額はそのまま、残期間を短縮。利息圧縮効果が大きい。¥6,240万·1.85%·35年で 60ヶ月時点に ¥500万 期間短縮型で繰り上げると、利息節約 約 ¥350万、期間短縮 約 36ヶ月。

返済額軽減型: 一時返済後、元金減少分を踏まえて月々返済額を再計算、残期間そのまま。月々負担を軽くしたい時に。同じケースで利息節約 約 ¥160万、月々 約 ¥18,000 軽減。

利息節約効果は 期間短縮型 > 返済額軽減型。だが家計のキャッシュフロー余裕がない場合は返済額軽減型が現実的だ。両方を interest ツール で同条件にシミュレートできる。

結論 — 6つの判断軸

フラット35 と変動金利の選択は、表示金利だけで決まらない。次の6軸で自分の状況を整理する。

  1. 保有期間: 35年完済予定 → 固定が有利。10年以内売却前提 → 変動が有利。
  2. 金利上昇リスク許容度: 月々返済が固定の予測可能性が必要 → フラット35。家計に余裕があり金利上昇分を吸収可 → 変動。
  3. 団信の必要性: フラット35 は団信加入が任意(別途料金)、メガバンク変動は団信込みが標準。
  4. 繰り上げ返済意思: 強い意思 + キャッシュフロー余裕 → 変動 + 期間短縮型のシナジー。
  5. ペアローン·収入合算: 夫婦両方の控除·団信を取りたい → ペアローン。控除1本でOK → 収入合算。
  6. 物件タイプ: 新築長期保有 → 固定。中古短期保有 → 変動。

35年という時間は、人生の大きなブロック1つに相当する。判断を ¥1,856万円 の絶対額で見るか、月々負担の精神的安心感で見るか — どちらが正解かは家計ごとに違う。interest ツールの比較パネルに自分のシナリオA(変動)とシナリオB(フラット35)を並べ、5年ルール·1.25倍ルール·繰り上げ返済を全部 ON にした上で35年通算の数字を見ると、見えなかった距離が見えるようになる。

この記事のポイント3つ

Sources

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